遺言作成や遺産分割協議の際に忘れがちなのが、被相続人名義の自動車です。
売却するにしても廃車するにしても、被相続人名義のままでは手続きは行えません。
ですから、面倒だからと放置せず、他の相続手続きと一緒に済ませてしまうことをお勧めします。
相続時に最も手続きが楽なのは、やはり生前に遺言書を作成し、自動車の相続人を明記しておくことです。
自動車を含めた他財産の漏れの可能性を予測して、遺言書の最後に「その余の一切の財産を●●に相続させる」などと記載しても良いと思いますが、高価な自動車だった場合、遺留分に関係してくる場合もあるので、その点は注意が必要です。
先日、私が対応させていただいたお客様は、自動車の名義変更を忘れたまま、業者に廃車依頼をした際、「名義人が異なる自動車の廃車はできない」と言われ、その手続きについてご相談をお受けいたしました。
公正証書遺言をお持ちの方でしたが、「その余の財産をAとBに、それぞれ2分の1ずつの割合で相続させる」とありました。
遺言の中で自動車について明記しておらず、自動車は「その余の財産」に含まれ、「共同所有」となっています。
また、一般に、遺産分割協議の際にも、自動車を明記せず、一旦は相続人全員で「共同所有」にする場合もあります。
ただ、「共同所有」にした場合、その後売却や廃車する際にも、全員分の委任状や印鑑証明書が必要になるため、遺言と異なる遺産分割協議をすることは可能ですし、可能であれば、相続の移転登録の際に、「単有名義」にしておかれた方が、次の手続きが楽に済みます。
(その場合、移転登録時、運輸局への提出書類に「譲渡証明書」を追加で提出するのみです。)
「相続による移転登録」と一言で言っても、上記のような「遺言書の有無」や、複数の相続人のうち一人が所有するのか共同所有するのかによって、また、相続人が未成年の場合、さらには、被相続人と「同居」または「別居」の場合等、状況によって揃える書類が異なってきます。
遺言書を作成する際の自動車における表記方法についてのご相談もお受けしておりますし、遺産分割協議中や、協議後のご相談も可能でございますので、お気軽にご相談ください。
※このブログは、行政書士江﨑純子(旧マリンゲート横浜行政書士事務所所属)との共同執筆によるものです。